当院で行う主なピル処方(通常、自費診療となります)

緊急避妊(アフターピル)

避妊をしない性行為、避妊具(コンドーム)が破れた等のアクシデントなどによって、望まない妊娠の可能性が高くなった場合に処方される避妊薬が緊急避妊ピルです。当院ではレボノルゲストレルを処方いたします。

使用の際は、妊娠の可能性が考えられる性行為から72時間以内にレボノルゲストレルを服用してください。これによって、妊娠阻止率は84%になるとされています。指示通りに服用したとしても、必ず妊娠しないということではありません。また妊娠の成立、不成立に関しては、次の月経が来るまで分かりません。月経予定日から1週間が過ぎても、まだ月経が来ないという場合は、ご自身で妊娠検査薬を用いて確認して頂くことをお勧めします。

副作用に関しては、嘔吐・吐き気をはじめ、消退出血、頭痛、倦怠感、めまい、腹痛などの症状がみられることがあります。
2時間以内に嘔吐した場合は再度内服する必要があります。
緊急避妊ピルは排卵を止めるのではなく遅らせる薬ですので、内服後にまた避妊をせず性交渉をすることで、遅らせた排卵で妊娠してしまう可能性はあります。
レボノルゲストレルを服用しても妊娠した場合、その後に出産した胎児に何らかの影響(奇形 等)があったという報告は、現時点ではありません。

低用量ピル

経口避妊薬とも呼ばれます。ピルは、エストロゲンとプロゲストロンの2種類のホルモンが合わさった錠剤です。元々は女性が避妊を目的として使用されてきたものです。

錠剤の中に含まれるホルモン量によって、高用量、中用量、低用量に分類されます。含まれるホルモン量が多ければ多いほど、血栓症などの重篤な副作用を発症する確率は高くなります。そのため、副作用のリスクをできるだけ避けつつ、避妊効果が得られる程度のホルモン量を維持するという避妊薬の開発が行われてきました。その結果、少ないホルモン量でも避妊効果が得られる経口避妊薬として、低用量ピル(エストロゲンの含有量が50μg未満)が開発されました。

月経移動

月経予定日を移動させたい場合に行うピル処方のことを月経移動といいます。日常生活を過ごしていくうえで、月経に煩わされたくないというイベント(受験、旅行、試合、結婚式 等)は意外に多いかと思います。その際に、月経時期がコントロールできればと一度は考えられたことのある方も多いかもしれません。ピルを内服することで月経予定日を早く、あるいは遅くさせることができます。

当院では、月経移動を希望される方には中用量ピルを処方いたします。この場合、1日1回1錠の服用となります。中用量ピルは、主体的な避妊や月経痛の軽減などを目的に使用する低用量ピルと比較すると、エストロゲンと呼ばれるホルモンの配合量が多くなっています。この場合、低用量ピルと比較すると副作用(頭痛、吐き気、不正出血、血栓症 等)が出やすい傾向があります。ただ、月経移動での中用量ピルの使用は期間が限定されますので、慢性的に続くということはなく、一過性であるケースが大半です。もしも服用期間中に強い症状が続くという場合は、速やかに医師へご相談ください。

なお、月経移動を今回初めてご希望になる方は、移動させたい月経が来るとされる1ヵ月ほど前までに受診されるようにしてください。

月経移動には、移動させたい月経を予定日よりも早める方法と、遅くする方法との2通りがあります。

月経を予定日よりも遅らせる

月経が始まるとされる予定日の、4日前からピルを服用していきます。その後は、月経が来ても良い日の1日前までピルを服用し続けます。服用を止めると、その2~3日後には月経が来るようになります。

月経を予定日よりも早める

予定日を早めたい月経の、ひとつ前の月経が開始してから5日目までにピルを服用します。それから最低でも10日間はピルを服用し続けます。その後、ピルの服用を止めた2~4日後くらいには出血がみられるようになります。つまり、月経予定日よりも月経が早まったということになります。この場合、大事なイベント時にもピルを服用し続ける必要がないため、ピルによる副作用の心配をしなくて済むというメリットがあります。

避妊以外の目的で使用する場合(通常、保険診療となります)

子宮腺筋症・子宮内膜症に伴う月経痛を軽減する目的で使用されるものはLEP(Low dose Estrogen Progestin)といいます。一方、避妊目的で処方されるピルのことはOC(Oral Contraceptives)といいます。LEPは超低容量ピルですので排卵抑制効果が弱く、避妊薬としては使用できません。月経痛がある方で避妊もしたい方には、OCを処方することになります。

月経異常についてはこちら

子宮内膜症・子宮腺筋症についてはこちら

服用方法について

1日1錠、できれば同じ時間帯に服用します。シートの種類には、21日分と28日分があります。21日分の場合、21日間服用し続けた後、7日間休薬し、また21日間服用し続けます。28日分は毎日服用し続けることになりますが、この場合も経口避妊薬を21日間服用し続けた後の7日間分は、何の効力もない偽薬(プラセボ)になっています。
飲み忘れが1日であれば、飲み忘れに気づいた時点で服用し、その日の分もいつもの時間帯に服用します(この場合、1日2錠服用することになります)。2日以上続けて飲み忘れてしまった場合には、服用を中止し、次の月経が来た初日から新しいシートの低用量ピルを使用します。この場合、避妊の効果は無くなっていますので、性行為をする場合は、ほかの避妊方法を行う必要があります。

副作用について

低用量ピルを服用することで起きるとされる副作用に関してですが、服用の開始から2週間程度は、吐き気がみられるようになるほか、少量ですが不正出血がみられるようになります。また、高用量ピルや中用量ピルと比較すると含有するホルモンの量は少ないですが、血栓症や心筋梗塞などの発症リスクをわずかに上昇させることにもなります。

料金はこちら