不妊治療とは

不妊とは、妊娠を希望している男女が避妊をせずに一定期間、性交していても妊娠が成立していない状態にある場合をいいます。一定期間については、1年以上としていることが一般的です。

不妊の原因については、男性に原因があるとされる男性不妊、女性に原因があるとされる女性不妊のほか、男女両方に原因があるという場合もあります。

一般不妊検査について

問診(不妊歴や不妊治療のご経験の有無、現在の月経の状況、これまでの妊娠・出産のご経験の有無 等を伺います)と内診を行います。初診時は血液検査やクラミジア検査、超音波検査を行います。そのほかの検査については、検査時期が決められていますので、後日になります。

当院で行う一般不妊検査は、以下の通りです。

女性が受ける一般不妊検査

超音波検査

婦人科疾患(子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣嚢腫 等)の有無、卵胞の数や成長過程の確認のほか、排卵日を予測することもできます。

血液検査

血液検査では、検査日が限定される血液検査もあります。具体的には、月経中ホルモン検査(月経開始後の2~5日の間に採血し、血中ホルモン(FSH、LH、PRL)を測定することで、卵巣機能の状態、排卵障害の原因等を調べる)、黄体期ホルモン検査(排卵日から7日ほど経過してから採血。着床や妊娠の継続に欠かせないホルモンである、エストラジオール、プロゲステロンの数値を確認する)があります。

子宮通水検査・卵管造影検査

子宮に生理食塩水を流し抵抗があるかを確認することで卵管の通過性を調べる検査です。
当院では月経開始から10日目以内で行っています。
造影検査とは、子宮に造影剤を注入後、子宮腔や卵管内の造影剤の通りをレントゲンで撮影する検査です。この検査につきましては当院では行っておりませんので、ご希望の方はお近くの専門施設をご紹介いたします。

男性が受ける一般不妊検査

精液検査

2~3日ほど禁欲生活をした後にマスターベーションでの採取となります。自宅で採取して頂き当院へご持参ください。予約制ですので、事前にご連絡ください。

一般不妊治療について

一般不妊治療

一般不妊検査の結果から不妊の原因となる疾患が確認されれば、その疾患に対する治療を行いますが、一方で原因が特定できないといったケースも少なくありません。その場合、まずは一般不妊治療のひとつでもあるタイミング療法を行います。これは自然妊娠による妊娠を目指すもので、6か月程度の期間は続けていきます。それでも効果が乏しいという場合は、もうひとつの一般不妊治療である人工授精が行われます。それぞれの治療内容は以下の通りです。

タイミング療法

自然妊娠がしやすくなる環境づくりをきちんと整備していくのがタイミング療法です。妊娠する確率が高いのは、排卵日の2日前とされています。したがって、その時期にできるだけ合わせて性交を行うことが、妊娠する確率を上げていくことになります。
そのためには、可能な限り正確に排卵日を予測する必要があります。経腟超音波検査で卵胞を計測して、排卵日を予測します。そのほかにも尿中に含まれる黄体形成ホルモン(LH)を測定することで、排卵日を予測することもできます。

排卵誘発剤によるタイミング療法

排卵日を予測し妊娠が成立しやすい時期に性交を行う方法だけでは、なかなか妊娠の兆候がみられない場合は、排卵誘発剤を使用します。
排卵誘発剤の影響で、複数の卵子が排卵されていくので、妊娠が成立する可能性は高くなっていきます。ただその一方、同剤の使用によって多胎妊娠、あるいは卵巣刺激症候群による卵巣の腫れ等の副作用がみられることもあります。

これらの不妊治療を半年程度続けても妊娠しない場合は、人工授精が選択されることになります。

人工授精

タイミング療法を半年程度続けても妊娠しない場合や、タイミング療法を用いての妊娠が困難と判断される場合(性交や射精に何らかの障害を抱えている、女性の頚管粘液に何らかの問題がある 等)に、行われる不妊治療です。これは事前に採取しておいた精子を、女性の排卵日とされる日に子宮腔へ注入していくというものです。人工授精の成功率は1回あたりで約5~10%と言われています。

人工授精をするにあたっては、タイミング療法と同じく、排卵日を予測していきます。また、自然周期で行うケースと、排卵誘発剤を使用して人工授精を行うケースの2通りがあります。排卵誘発剤を用いると1回あたりの妊娠成功率は上がりますが、卵胞が育ちにくい方、排卵しにくい方のみが適応になります。自然周期による人工授精が可能な方に排卵誘発剤を使用して人工授精を行うと、多胎妊娠のリスクが上昇してしまうからです。

人工授精の流れ

具体的には、まずタイミング療法と同様に排卵日を予測していきます。その際は、経腟超音波検査で卵胞の大きさを計測する、あるいは尿中に含まれる黄体形成ホルモン(LH)を測定します。タイミング療法では、排卵日の2日前~前日に性交を行うのがよいとされていますが、人工授精は、排卵に極力近いとされる時期に行います。

人工授精を行う日が決まれば、事前にお渡しした専用容器に精液を採取し、女性に持参して頂きます。採取した精液を洗浄後、濃縮し、できるだけ運動率の高い精子を取り出します。この作業については、1時間程度の時間が必要となります。

精子の準備が整えば、人工授精の開始となります。この場合、カテーテルを通して精子を子宮内に挿入していきます。お体に大きな負担がかかるということはありませんが、時として子宮頚管から出血がみられることがあります。施術に関しては10分程度で終了しますが、さらに院内で10分ほど安静にして頂いてからのご帰宅となります。その後の受精や着床、妊娠に至る過程は、自然妊娠の流れと同じです。

なお同治療は何度でも行うことは可能ですが、多くの方々は6回以内で妊娠が成立しています。そのため、5回の人工授精を行って効果がないとなれば、体外受精の可能なより専門性の高い施設で不妊治療を行うことをお勧めします(当院よりご紹介することも可能です)。