婦人科疾患とは
女性に特有の病気を総称して婦人科疾患といいます。子宮、卵巣・卵管、外陰部、膣でみられる症状や病気のほか、月経異常や更年期障害なども含まれます。
診察時は問診票を医師が確認するほか、内診が必要になる場合もあります。内診に抵抗がある患者さまにつきましては、お腹の上から超音波検査を行うことも可能です。お気軽にご相談ください。
以下のような症状がありましたら、受診をご検討ください。
- 月経の異常(月経痛が激しい、月経が3ヶ月以上止まっている、月経周期が短い・長い、月経の期間が短い・長い、経血量が多い・もしくは少ない 等)
- おりものの異常(色や状態が違う、悪臭がする、量が多い、血が混じる 等)
- 外陰部の異常(かゆみ、腫れ、できもの 等)
- 不正出血(月経時以外の出血、性交後の出血、閉経後の出血、便や尿に血が混じる 等)
- 痛み(下腹部痛、排便痛や排尿痛、性交痛、腰痛 等)
- 乳房の異常(痛み、へこみやひきつれがある、しこりがある、出産経験がないのに母乳が出る 等)
- 更年期障害(ほてり、発汗、不安、気分の落ち込み、不眠 等)に悩んでいる
- 頻尿
- 便秘
- 肌あれ
主な婦人科疾患
子宮内膜症
子宮内膜症とは
子宮内腔に存在する子宮内膜組織が、子宮の内腔以外の場所で発生し、月経が起きる度に卵巣、卵管、子宮周囲の腹膜に炎症や出血を繰り返し起こす疾患です。特に卵巣に生じたものをチョコレート嚢腫といいます。
月経痛、慢性骨盤痛、排便痛、性交痛などの症状があります。炎症をくり返し周囲臓器と癒着することで不妊の原因にもなります。
治療について
対症療法として、鎮痛剤や漢方薬などを用います。
内分泌療法として、低用量ピル、プロゲスチン製剤などが用いられます。
チョコレート嚢腫がある程度の大きさを超えた場合や、悪性である可能性が否定しきれない場合には、手術も検討されます。
子宮腺筋症
子宮腺筋症とは
子宮壁(筋層)内に子宮内膜組織が入り込み、子宮筋層に炎症性の腫大がみられている状態です。
月経痛、過多月経、月経の期間が長引くなどの症状のほか、不妊の原因にもなります。
治療について
対症療法として、鎮痛剤や漢方薬などを用います。
内分泌療法として、低容量ピル、プロゲスチン製剤などが用いられます。
子宮筋腫
子宮筋腫とは
子宮の筋肉にできる良性の腫瘍です。大きさやできる場所により症状の現れ方は異なります。また多発することもあります。
月経困難症、過多月経、貧血、不妊などの症状があります。腫瘍が大きくなり周囲臓器を圧迫するようになると、腰痛、頻尿、便秘、尿閉、血栓などの症状がみられることもあります。
治療について
腫瘍の大きさが小さく症状がない場合は、経過観察とします。
対症療法として、痛みに対しては鎮痛剤、貧血や過多月経に対しては鉄剤や止血剤を用います。
状況に応じて、手術を検討することもあります。
子宮頸がん
子宮頸がんとは
子宮の入口付近の子宮頸部と呼ばれる部位に発生するがんです。最近は20~30代の女性の罹患率が増えてきています。
性行為により感染するヒトパピローマウイルス(HPV)が原因とされています。多くの方は感染しても、無症状のうちに自身の免疫力により排除されます。しかし感染が持続すると、子宮頸部がんの前がん病変(異形成)や子宮頸がんとなります。
子宮頸がんは、早期発見されれば予後良好で、Ⅰ期での5年生存率は90%を超えます。初期の段階では自覚症状が出にくいので、各自治体が公費で実施している子宮頸がん検診を定期的に受け、早期発見、早期治療に努めることが大切です。
子宮体がん
子宮体がんとは
子宮内膜に発生するがんであることから子宮内膜がんとも呼ばれます。肥満、出産未経験、糖尿病や高血圧の罹患者、ホルモン療法(エストロゲン製剤の服用)などの方が罹患しやすいと言われています。世代としては、40代後半~60代の女性が罹患しやすいとされています。
主な症状ですが、初期症状として不正出血がみられます(閉経後は特に要注意)。その後、ある程度まで病状が進行すると、下腹部痛、おりもの異常(量が多い、茶褐色、悪臭がする等)も現れるようになります。
卵巣腫瘍
卵巣腫瘍とは
卵巣は子宮の左右に一つずつあり、通常では2~3cmぐらいの大きさです。ここに発生した腫瘍が卵巣腫瘍であり、大きいものでは30cmを超えることもあります。卵巣腫瘍には様々な種類がありますが、その発生起源から表層上皮性・間質性腫瘍、性索間質性腫瘍、胚細胞腫瘍などに大別され、それぞれに、良性腫瘍、境界悪性腫瘍、悪性腫瘍があります。
腫瘍が小さい間は自覚症状も乏しいですが、ある程度まで腫瘍が大きくなると、腹部膨満感(お腹の張り)、下腹部痛、頻尿などの症状が起こるようになります。また何らかの原因で腫瘍が破裂したり、捻じれる(茎捻転)などしたりすると、何の前触れもなく突然腹部の強い痛みに襲われることもあります。
治療について
良性腫瘍でそれほど大きくない場合は、定期的に経過観察を行います。6cm以上ある場合は捻転が生じる危険性があり、悪性の腫瘍である可能性も否定できないため、手術を検討します。